メキシコのマンサニージョで爆発的に英語が喋れるようになった出来事について

学習

ある時、メキシコはマンサニージョに訪れる機会があった。今でこそメキシコの治安は悪いと言われているが、当時はそんな知識はなく、また街を歩いてみても治安が悪そうな兆候に遭遇することはなかった。

街を歩くと、どの商店も原色のペンキを使った素朴な、それでいて地味ではない海外独特のペイントアートでお店の看板を作っており、異国情緒に溢れていた。(とあるレストランで米を使ったデザートを食したが、とても美味かった。)

話を戻すと、マンサニージョは港町なのだが、近くにカジキのモニュメントがあり、これはGoogleEarthでも見ることができる。その近くに「海軍博物館」なるものがあり、同僚と見学に行くことになった。そこにあった展示物は、なぜかイソギンチャクなどの深海の生物を撮影した写真が多かった。

なぜ海軍博物館にそのような深海の生物の写真が展示されているのかとても不思議だったのだが、私は「ひょっとしてメキシコ海軍は潜水艦を保有していて、その潜水艦で撮影したものなのかもしれない」と考えた。そもそもの前提として、(失礼な話だが)自分はメキシコ海軍が潜水艦を持っているとは思っていなかったので、展示員にメキシコ海軍はが潜水艦を何隻保有しているのか聞いてみることにした。しかし片言の英語しかできなかった私は、隣にいたTOEIC800点の同僚に、そこに立っている軍人に、自分の代わりに英語でこの質問を聞いてくれるよう頼んだ。

そこで同僚が発した言葉は何と「How many submarine do you have?」だった。私は衝撃を受けた。「保有」の英単語は確か「posses(ポゼス)」だ。てっきり「How many submarines does the Mexican Navy possess?」みたいに難しい英語で聞いてくれるとばかり思っていた。「How many submarine do you have?」なら中学生でも思い浮かびそうな文章だ。しかし、その同僚の英語は見事に通じ、同僚とメキシコ海軍の軍人はその後も引き続き談笑していた。(答えはというと、メキシコ海軍は深海研究用途の調査用潜水艦を1隻か2隻、保有しているとのことだった。)

私はここで重要な教訓を得た。このような簡単な単語で相手と意思疎通できるのなら、もう英語は怖くない。頭に思い浮かんだ日本語を直接に訳そうとするから無駄に難易度が上がるのであって、今度からは意味が同じで、かつ中学生が話そうな語彙の簡単な日本語にブレイクダウンしてから、それを英語にすればいい。それなら簡単だ。この目論見は当たり、以降の海外渡航では、私は爆発的に英語でのアウトプットができるようになった。この時の同僚には本当に感謝している。